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とても顔を上げられる状況じゃない僕を、奴はどんな顔で見ていただろう。
「その笑顔を見て…」
やんわりと、降り注ぐ声を受けながら、僕は身を硬くした。
ずっと言い聞かせる様に『冗談』だと思って来たが、まさかマジで…?
でも、そんなのあり得ない。
いや、もうあり得ないと目を背ける事は出来ないのだろうか。
あの時の様に…
続きを聞きたくないと思いながら目を閉じたのに、それを遮る言葉も動作も出来ない。
僕はいつでも臆病者だ。
そんな風に悶々としていると、不意を突かれてしまった。
「結婚したいと思った。」
「なんだよそれ!?」
ほぼ無意識に出たツッコミだった。
今回は特別版のずっこけ付きだ。
これだけ雰囲気作って、重ねボケとは…
しかも、2日がかりの重ねボケ。
期待していた訳ではもちろんないが、苦笑と言うか、失笑と言うか。
ただ、内心ホッとしたのは事実だ。
「結婚って…」
あらゆる筋肉の強張りが一気に弛緩して行くのを感じる。
と、同時に、ある考えが浮かんだ。
「あれ?もしかして、僕、練習台?」
姿勢を整えながら、奴をみると、とぼけた顔をしている。
きっと照れ臭くてそんな顔をしているのだろう。
「結婚したい程好きな人に出会えるなんて、いいよな。」
ここ数日、妙に緊張していたせいか、久しぶりに笑った気がする。
だが、奴はまだ目を丸くしたままだった。
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