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先程よりもうるさい沈黙が室内を支配した。
僕はアホみたいに、パスケースを眺めていた。
「悪かった…ってか、ごめんな。」
声は小さかったが、思い切った口調で奴が沈黙を破った。
「なにが?」
相変わらずアホみたいな顔のまま、僕はそう言った。
むしろ、奴の方が居心地が悪そうな雰囲気を出しながら続ける。
「いや、本当はそれ取りに来たかったのに、俺が変な事言ったから、お前ここに来づらかったんだろ?」
「えっ?あ…いや、違うよ!」
僕は慌てて否定した。
いや、確かにそれもあったし、いや、今日なんかはその事があったからこそ、ずっとあんな所で立ち止まっていたのだ。
しかし、「マジで?。お前が変な事言うから?」と茶化す事も、「実はそうなんだ…」と告白する事も、僕のコミュニティ力では無理だった。
そんな気持ちを振り払う意味も込めて、僕は首を千切れんばかりに横に振っていた。
「なんか、あれから熱出ちゃって寝込んでたんだ!今日もなんかボーっとしててさ…」
「えっ!?マジでか!?」
僕が言葉をいい終える前に、奴は心配そうな顔で僕に詰め寄った。
狭い上に物が散乱している場所だったから、勢い余って奴が僕の方へ倒れこむ。
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