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雪の降る季節 07
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「ほ、ホントに?」
「うん。」
「いいの?」
「正直嫌だけど…おまえも俺の願い聞いてくれたから。だから、俺もおまえの頼みくらい聞いてやろうと…」
本当はおまえの残念そうな表情に負けた、なんて。
口が裂けても言えなかった。
「先輩…ありがとう!じゃあ、早く行こう!」
普段あんまり見せないような子供っぽさが混じった無邪気な笑顔。
その笑顔にきゅんとなる胸を押さえながら、篠原の後を着いて行った。
入場門の前でスタッフの人が立っていて、その人にフリーパスを見せると、ニコッと優しい笑顔を向けてどうぞ、っと中に案内してくれた。
「ここは有名なお化け屋敷ですので。無理だと思ったらリタイアも可能なのでそのときは言ってくださいね。」
リタイア出来るんだ…
そう思うとなんだか緊張がほぐれてきた。
「でも、2人はなんだか強そうですし!そんな心配いらないですね!」
あのときと同じ笑顔を向けられて俺の顔がひきつる。
お化け屋敷に強いも弱いも関係ないだろ…
そんな俺の心の叫びも虚しく…
「はい、大丈夫ですよ。先輩はホント強いですから。ね、先輩?」
からかいたかったんだろう…
篠原は満面の笑みをこちらに向けた。
スタッフの人もきゃっきゃっ言ってる。
もう本気で逃げられない。
「ま、まぁ…」
「じゃあ、こちらからスタートになります。お兄さんたち!がんばってくださいね!」
「は、はい…」
俺にはスタッフの人の笑顔が悪魔の微笑みに見えた。
決してそんなつもりで笑ったんじゃないんだろうけど…
「じゃあ、先輩。行こっか。」
俺のほうを向いて、ニコッと笑顔を向ける篠原。
あ、こいつの笑顔は悪魔の微笑みに見える。
つーか、絶対そうだ。
これから、俺の地獄の時間がスタートした。
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