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雪の降る季節 15
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「先輩、歩ける?」
唇が離れてゆっくりと目を開けると、目の前ではすごく優しい表情をした篠原がいて。
あの寂しそうな笑顔が消えていてほっと胸を撫で下ろした。
「うん、たぶん。」
そう答えると篠原は立ち上がって俺の前まで来ると手を差し出してきた。
俺は少し照れながらもその手をぎゅっと握りしめて立ち上がった。
それから2人でいろんなとこをまわってたくさんの乗り物に乗ってパレードを見て。
充実した時間を過ごしていた。
そして、だんだん陽も傾き始めて空は真っ暗になり、遊園地の灯りがすごく照り映えていた。
「もう7時42分か…」
たくさんの袋を抱えてお土産屋さんを出たときに篠原がポツリと呟いて、もうこんな時間なんだと自分も認識する。
「ここって確か8時に閉まるんだよね?」
「うん。」
「じゃあ、そろそろ帰ろっか。」
そう言って、袋を片手に持ち直して出口のほうに歩こうとしたとき、篠原に空いている手を掴まれて、足の動きを止めた。
「先輩。」
「ん?どうした?」
「もう少しだけ…」
「え?」
「もう少しだけ…時間、いい?」
「え、うん。でも、」
「どうしても先輩と一緒に乗りたいものがあるんだ。」
篠原のなんだか弱々しい声に断れるはずもなく、俺は篠原に引かれるまま着いていった。
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