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雪の降る季節16
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「すみません、お客様。もうお時間のほうが…」
「お願いします。1回だけ…1回だけでいいので乗らせてください。」
深々と隣で頭を下げる篠原に驚きながら、俺は篠原とスタッフさんを交互に見た。
「わかりました。1回だけですよ?」
「ありがとうございます。」
篠原の熱意に負けたのか、1回だけならとスタッフさんは折れてくれて。
俺たちは誘導されながら、1室の部屋に入った。
「先輩、見て。夜景がきれいだよ。」
俺たちはゆっくりゆっくりと上に上がっていく。
景色も変わっていって、おまけに夜景だからすごくきれいに見えた。
「ホントすごくきれい…」
「よかった。」
見惚れていると、俺の前に座っている篠原が安心したような声を出したので、俺は自分の中にある疑問をぶつけてみた。
「なぁ、篠原。」
「ん?」
「なんで観覧車に…?」
そう俺たちが今まさに乗っているのは観覧車。
篠原が最後に乗りたいと言っていたのは観覧車のことだったのだ。
「最後まで最高のクリスマスにしたかったから。」
「え…?」
篠原の言葉に驚く。
そんなことまで考えていたなんて知らなかったから…
「いや…おまえと過ごせてすっげー楽しかったし…。最高のクリスマスになったよ?」
「でも、今日は先輩と過ごす初めてのクリスマスだから。思い出に残るようなことをしたかったんだ。」
「思い出に残ること…?」
観覧車がゆっくりゆっくり回っていって。
景色がゆっくり変わっていくなか、篠原が何やらガサガサとバックの中を漁り始めた。
そして、バックの中からきれいに包装された
四角い箱を出して俺の前に差し出した。
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