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雪の降る季節 23
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「それに前、敬語が外れてきたねって話してたとき言ってたでしょ?そっちの篠原のほうがいいって。」
「っ…」
「それは嘘?」
「う、嘘じゃ、ない、です…」
「よかった。」
ニコッと。
優しい笑顔を俺に向けて。
そのきれいな笑顔に見惚れていると、「じゃ、続き付けて。」と言われてハッと我に帰り、またピアスを付け始めた。
「よし、出来た!」
付け始めて数分後。
ようやくピアスを付けることが出来て、まずケガさせなかったことに胸を撫で下ろした。
目の前で篠原も喜んでくれていて、遊園地のガラスを鏡代わりにして、ピアスを見ながら「ありがとう。」と何度も言っていた。
俺はそんな篠原を見て、プレゼント買ってよかったなー、と心がポカポカした。
「でも、先輩もよく俺にピアスプレゼントしたよね。」
「え?」
よく意味がわからず、首を傾げる。
「だって、校則ではピアス禁止じゃん。」
「……………あああああぁぁああぁぁぁぁぁあ!!!!」
篠原に言われて思い出した。
ピアスって校則違反じゃん!!
あまりにもこのピアスが篠原っぽくて…
これ付けたらかっこいいんだろうなって想像して…
想像してたら、本当に見てみたいと思って…
校則とかすっかり忘れて買っちゃったよ…
「今気づいたって感じだね。」
クスクス笑いながら、そう言っていて。
俺はそんな篠原に「ごめん…」と謝った。
「なんで謝んの?」
「だって、こんなものプレゼントして、俺から校則違反させて…俺、生徒会長失格だ…」
「重く考えすぎだって。」
「だって……あっ、じゃ、じゃあさ、今から外そっか!」
「は?」
「今からでも遅くないし!俺が外してあげるから!」
「は、やだよ、外すとか。」
「だ、ダメだって!だから、」
「それに校則違反してるやつなんてどの学年にもいっぱいいんじゃん。髪染めてるやつもいるし、ピアス付けてるやつなんて結構いるぜ?」
「それは…」
「じゃあ、先輩はこれ、俺には似合わないって思ってんだ?」
「ち、ちがっ!」
「じゃあ、どう思ってんの?」
「っ…」
勝ち誇ったような笑顔。
大丈夫だと安心させてくれる笑顔。
俺はその笑顔に大丈夫だからと安心させられて正直に自分の気持ちを答えた。
「に、似合ってる…すっごくかっこいい…」
と。
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