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哀しみの雨 01
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篠原も薫くんもいなくなって。
この空き教室には俺だけが残っていた。
「水沢夕貴くん!!今すぐ入場門に来なさい!!」
放送で聞こえる先生の怒った声。
それでも俺は動く気になれなくて、ただただ呆然としゃがみこんでいた。
すると、一向に来ないから先生たちも諦めたのか、入場のかけ声が聞こえてきて。
窓の外をぼんやりと眺めながら、考えたくもない考えが次から次へと浮かんできて。
"終わった"
今の俺には、その言葉が頭をちらつかせた。
今ごろ、篠原は薫くんと一緒にいるんだろうか…
それとも、篠原のことが好きなやつかな??
あいつ、クラスマッチ以来モテ期らしいから…。
「てか、なんでこんなこと考えてるんだろう…。もう俺には関係ないのに…。」
窓の外からは、俺が楽しみにしていたムカデ競争があっていて。
「1、2、1、2!!」、と。
かけ声が聞こえる。
それと同時に、昨日の夜、篠原と一緒に風呂に入って話していたことが頭の中で聞こえて。
余計虚しくなって…。
拭っても拭っても拭いきれないくらいの涙が頬を伝った。
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