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哀しみの雨 04
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「夕貴…」
生徒会の仕事に向かうと孝太がいて。
俺を見た瞬間、なんとも情けない声をこぼした。
「なんだよ、その情けない声は。」
出来るだけ笑いながら話す。
でも、そんなこと孝太には何一つ通用しない。
「だから、無理して笑うなって言っただろ。」
その言葉で笑顔が一瞬でなくなる。
ホント、孝太には適わない。
「ここは俺らでするから。夕貴はどっか濡れないところで休んでろ。」
「お、俺もする。」
「そんなんで任せられるわけないだろ。いいから早く、」
「お願いだから…。」
「夕貴…」
「もう何も考えたくないんだ…。だから…」
孝太のジャージの袖を強く握って俯く。
すると、俺の手に孝太の手が重なって。
びっくりした俺は思わず顔を上げると、そこにはびっくりするくらい柔らかい表情をした孝太がいた。
「こう…た??」
「わかった。」
「え??」
「おまえは会長だもんな。仕事、頼むよ。」
「孝太…」
「その代わり、無理をしないこと。それから、雨で濡れてるから…寒くなったら切り上げること。いいな??」
「う、うん。」
「じゃあ、頼んだぞ。」
孝太の手が肩にポンッと触れて。
俺の横を通り過ぎて自分の仕事に戻っていった。
孝太の優しさが胸に染みて…
俺も仕事がんばろう、と自分の仕事に向かった。
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