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哀しみの雨 05
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保護者の方を雨に濡れないように体育館に非難させたり、出しっぱなしの競技具や資料などを片付けたり、濡れた机や椅子を拭いたり。
思ったより仕事は山積みで、篠原と薫くんのことを考える余裕なんてこれっぽっちもなかった。
まぁ、今の俺には好都合だけど。
「会長!!ちょっとこっち手伝ってくれませんか!?」
役員の声が聞こえて駆け寄ると、おぼんに湯気のたったお茶を乗せていた。
「これ、赤軍の生徒に渡してもらえませんか??」
「え??」
「生徒が風邪引かないように、温かいお茶を渡せってはるちゃんから言われて。」
確かにこの降り続いている雨を見る限り、まだ止みそうにない。
それに、仕事しているときにテントで待機している生徒の中でくしゃみをしている人も見られる。
風邪引かないように温かいものを飲ませたほうがよさそうだ。
だけど…
「他の軍は??」
赤軍には行きたくない。
だって、篠原がいるから…
「他の軍は今他の役員が配ってます。」
「じゃ、じゃあ、おまえは??」
「俺はさっき先生に頼まれたことがあるのでそっちに行かないと…」
「そ、そうなんだ…」
不幸中の不幸とはこういうことを言うんだろうか…
せっかく考えないように仕事をがんばっていたのに…
俺は言い訳をしようと口を開いたが、
「会長もびしょ濡れで寒いとは思いますが…お願いしてもいいですか??」
少し困った顔をした役員にそんなこと言われて断れるはずもなく…
「わ、わかった…。」
俺は渋々了承した。
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