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哀しみの雨 08
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それからも本当に忙しくて。
ハチマキ伝説とかそんなこと考えている余裕なんてなかった。
「くしゅっ。」
「寒いか??」
「ううん、平気。あともう少しだから。配ってくるよ。」
「そう。あんまり無理すんなよ。」
「わかってる。」
孝太にまた温かいお茶をもらって、赤軍まで運ぶ。
そして、篠原と手分けして生徒たちに配っていく。
それを何度も何度も繰り返す。
「夕貴、こっちにもちょうだい!!」
「は、はい!!」
「篠原ー、こっちー!!」
「はい。」
忙しい。
でも、篠原が手伝ってくれるおかげで結構テキパキと仕事が終わっていく。
たぶん、篠原が手伝ってくれなかったらもっと忙しいんだろうな…。
そう思ったら、本当に篠原には感謝しないとなって思った。
「夕貴、ちょっとこっち来いよ。」
「え??」
そんな忙しいとき、なぜか先輩たちに手招きされて。
まだお茶が欲しいのかな??なんて思いながら、先輩たちのところに近づく。
「なんです、っ!?」
先輩たちのところまで行くと、グイッと後ろから腕を引っ張られた。
持っていたお茶は地面にこぼれて。
俺は腕を引っ張られたせいでよろけて背を誰かの胸に預けた。
「な、何!?」
すると、ふわっと肩に何かがかかる。
「え…??」
俺の肩にはジャージが羽織られていて。
そのジャージの左胸のところに書いてある篠原という文字を見つけて、まさかと胸をドキドキと高鳴らせながら後ろを振り向いた。
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