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哀しみの雨 09
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「しの、はら…」
やっぱりそこには篠原がいて。
なぜだか胸がきゅうっと締め付けられた。
「これ、ちゃんと着て。」
「え??」
言われた通り、ジャージに腕を通す。
すると、グイッと腕を引っ張られて。
雨に当たりながら篠原に引っ張られるがままについて行く。
「ど、どこ行くんだよ??」
話しかけても何も返事はなくて。
なんだかすごく遠く感じた。
「な、なんでここなんだよ…。」
連れて来られた場所は空き教室。
さっきのことがあって、正直ここには来たくなかったのに…
「ここなら誰も来ないから。」
篠原は俺に近づいて。
ゆっくりと手を伸ばした。
俺は思わずぎゅっと目を瞑ると、ジーっという音が聞こえて、目を開けるとジャージのチャックが篠原の手によって閉められていた。
「な、何??」
「体操服。」
「体操服??」
「濡れて透けてた。」
「え!?ウソ!?」
「ホント。さっき先輩たちが呼んでたのもたぶんそれだと思う。」
まじか…
つーか、まさか…
「他のみんなも知って…」
「たぶん。結構みんな話してたし。”会長エロいなー。ヤりてー。”だって。」
「うぅ…」
なんか、自分が不甲斐無いというかバカすぎるというか…
恥ずかしすぎる…
「あんまりそういうとこ見せないでください。」
「え…??」
「モテるんだから。ちょっとは警戒しろ。」
これは、心配してくれてるんだろうか…??
「ご、ごめん…。それと、ありがとう。」
俺に背中を向けていて、顔は見えなかったけど、微かに見える頬が少し赤く染まっているように見えて。
ジャージ貸してくれて、おまけに助けてくれて…
こんな俺にでも頬を染めてくれて、心配してくれて…
それがすごくうれしくて…
自然と頬が緩んだ。
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