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哀しみの雨 11
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「俺、もう戻りますね。」
「待てよ。」
「…なんですか??」
「話があるんだ…。だから…行くなら俺の話聞いてから行けよ…。」
「…わかりました。」
背中を向けたまま。
顔だけをこちらに向けている。
でも、俺は篠原の顔を見るのが怖くて。
俯いたまま口を開いた。
「篠原…なんで、なんで"先輩"って呼ばないの…??」
「……。」
「篠原…。」
「……。」
「なぁ、答えろよ…。」
「……。」
俯いていた顔を上げて。
俺より背の高い篠原を見上げる。
でも、何も言ってくれない。
口も開いてくれない。
目も合わせてくれない。
俺を見てくれない。
まるで本当に篠原の心がもう俺にはないみたいだ…。
正直、これだけは聞きたくなかった。
でも、聞かずにはいられなかった。
俺は、篠原の掴んでいる腕にぎゅっと力を込めて、口を開いた。
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