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哀しみの雨 12
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「もう…俺のことは好きじゃないの??」
「っ…」
一瞬、表情が歪む。
でも、すぐに冷静な顔に戻った。
「俺が嫌いだから、"会長"って呼ぶんだろ??」
「それは…」
「そうなんだろ??」
「……。」
「はっきり言えよッ!!俺が嫌いなら嫌いって、ちゃんと目を見て、っ!!」
掴んでいた篠原の腕をグイッと引っ張られて。
篠原の胸の中に飛び込んだ。
ドクンドクンと耳に聞こえる篠原の鼓動。
それがなんだか遠いような近いような…
そんな感じがして、今篠原の近くにいるのに悲しくなる。
「しの、はら…??」
情けない声が出て。
篠原の近くにいるんだってことを実感したくて。
篠原の腕を掴んでいないほうの手を背中に回して。
ぎゅっと体操服を掴む。
すると、篠原も俺の背中に腕を回して。
俺が掴んでいる手に自分の指を絡める。
俺はびしょ濡れで。
篠原も少し濡れていて。
お互いとても冷たかったけど、篠原と触れ合っているところから体温がじわじわと感じられて。
あんなに寒かったのに今は不思議と温かかった。
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