アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
俺の隣 01
-
篠原柊side
先輩の声に立ち止まりそうになる自分を抑えながら、空き教室に先輩を残して。
空き教室から出て、廊下を歩く。
自分の足音だけが響いて。
俺の隣にはもう先輩はいないんだってことを嫌でも実感させられた。
「はぁ…」
ポツリと大きなため息をこぼして。
テントのほうに向かう。
すると、赤軍のテントには孝太先輩と祐介先輩が俺と先輩の代わりにみんなにお茶を配っていた。
「すみません、急に抜けて。」
声をかけると孝太先輩は振り返って。
祐介先輩も一度俺を見たが、すぐに仕事の続きをする。
孝太先輩はなぜだかキョロキョロしていて。
まるで誰かを探しているようだった。
「あの、」
「夕貴は??」
「え??」
その言葉でやっぱりかと思ってしまう。
「空き教室にいます。まだ体が濡れていたので。」
「そっか。」
「はい。」
「…なぁ、篠原。」
急に声色が変わる。
真剣な声。
その声に緊張感が増した。
「…なんですか??」
「…いや、何でもない。」
たぶん聞きたかったのは夕貴先輩とのことだろう…
孝太先輩は夕貴先輩と親友だから…
心配するのはよくわかる。
それでも聞かなかったのは何かを確信したからなのかもしれない。
「これ頼んでいいか??」
孝太先輩からお茶の乗ったおぼんを差し出される。
「あ、はい。大丈夫です。」
「ありがとう。」
おぼんを受け取って。
孝太先輩がどこかに行くのを背中で感じながら、黙々と仕事をした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 68