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俺の隣 02
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泉孝太side
「なぁ、篠原。」
「…なんですか??」
聞こうと思った。
夕貴とどうなったのか。
「…いや、何でもない。」
でも、聞かなくてもわかった。
夕貴とどうなったのか。
あんな辛そうな顔をされたら嫌でもわかる。
上手くいかなかったことくらい。
だから…
「これ、頼んでいいか??」
「あ、はい。大丈夫です。」
「ありがとう。」
夕貴が余計心配になった。
あいつは自信がなくて…。
強そうに見えるけど、本当は弱くて、脆くて…。
そのくせ、全部1人で抱え込むから。
壊れそうで…壊れてしまいそうで…。
すごく怖くなった。
仕事を篠原に任せて。
とにかくあてもなく走った。
体育館裏、教室、理科室。
いろんなところを探した。
でも、見つからない。
夕貴の姿はどこにもない。
「どこ行ったんだよ…」
ため息と一緒に言葉がこぼれる。
すると、頭の中に1つの場所が思い浮かんだ。
篠原の借り物競走を見たときに逃げ出した場所。
俺はその場所に向かって全力で走った。
「いた…」
ハァ、ハァ、と息を整えながら、ドアの小さな隙間から中を覗く。
すると、予想通り、夕貴は空き教室にいた。
でも、俺が見た夕貴の姿は俺の体を凍らせるほど、ひどい姿だった。
まるで脱け殻のようで…
また1人で抱え込んでいるんだ。
そう思ったら、いてもたってもいられなくなって、ドアノブに手をかける。
そして、ドアを開けようとしたそのとき。
微かにだけど、弱々しくて辛そうな声が俺の耳に聞こえた。
「ごめんな、篠原…。ごめん…。今さらこんな大事なことに気づいて…。あんなにたくさんの愛をくれたのに…。薫くんの言葉で気持ちが揺らいで、あんなひどいこと言わせて…。ごめん…篠原。でも、俺…やっぱりおまえじゃないとダメだ…。篠原が好き…。好きなんだ…。」
「っ…」
苦しくなった。辛くなった。悲しくなった。
夕貴の想いに息が詰まった。
夕貴の言葉にその場から動けなくなった。
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