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俺の隣 04
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「ふっ…うぅッ…」
降り続く雨。
止まらない涙。
濡れた体は氷のように冷たくて。
そして、俺の心も冷たく冷えきっていた。
そんなとき…
ガラッと、ドアが開く音が聞こえて。
視線を向けるとそこには…
「こう、た…」
辛そうな顔をした孝太が立っていた。
俺は涙を見られたくなくて、反対側を向いて必死に涙を拭う。
「な、に??何か用??あ、それとも仕事??」
なるべく明るく。
元気に。
「ごめん、勝手に抜けて。」
心配かけないように。
惨めな自分を見せないように。
「すぐ行くから。先に、っ!?」
明るく言えてるつもりだった。
誤魔化せてるつもりだった。
でも、全然ダメだったみたい…
「強がるなって…。何度も言わせるな。」
冷えきった体は孝太の温かい体温に包まれて。
背中から伝わってくる体温が冷えきった心も一緒に溶かしてくれる。
「離せよ…」
「離さない。」
「な、んで…」
「こんなおまえを離せるわけないだろ。」
「大丈夫だって。だから、」
「うそつけ。離したら壊れるくせに…」
「っ…」
「いいから吐き出せよ。おまえが抱えているもの全部。俺に吐き出せ。」
心の傷口を優しく消毒してくれてるみたいに孝太の優しさが胸に染みて…
涙と泣き叫ぶ心の声が溢れてきた。
「俺、篠原が好きなんだ…」
「うん…。」
「好きなのに…全然素直になれなくて、いっぱい傷つけて…」
「うん…。」
「付き合ってること隠したり、好きって言えなかったり…。俺、最低だ…」
「そんなことないよ…」
「最低なんだよ…。だって、一緒にいれるだけで幸せなのに…。その気持ちですら気づけなかったんだから…」
後ろから抱きしめられていて、首に孝太の腕が回されていて。
縋るようにその腕をぎゅっと掴む。
すると、孝太の手が重なって。
安心させるようにぎゅっと掴まれた。
「でも、ちゃんと気づけた。」
「え…」
「篠原が好きで…一緒にいれるだけで幸せ。その大切なことにちゃんと気づけた。」
「っ…」
「だから、おまえは最低なんかじゃない。」
「…でも、俺たちはもう…」
「そんなの関係ねーよ。伝えたいときに伝えればいい。おまえが伝えたいときに伝えたい気持ちをそのまま伝えればいい。」
消毒されていく。
孝太の言葉で…
傷口がどんどん癒えていく。
「だけど…」
そう言った瞬間、体が離れて。
グルッと向きを変えられる。
「い、いひゃい!!何しゅんだよ!!」
「うっせぇ!!」
そして、孝太に頬をつねられて。
抵抗しようとしたが、真剣な孝太の目が俺を捕らえて…。
動けなかった。
「いいか??細けーことは気にするな!!そんなこと気にしてると好きなものは一生手に入らない…。おまえの隣にはもう二度と篠原はいなくなんだよ…!!」
「っ…」
「いいのかよ…。篠原がおまえの隣からいなくなっても。」
「……。」
「いいのかよ!!」
「…い、やだ。そんなの絶対…やだ。」
フッと。
孝太が優しく笑った。
「だったら気持ち、ちゃんと伝えろ。おまえの本当の気持ちをちゃんと…。」
孝太の言葉に強く頷くと、頬をつねっていた手がゆっくりと放れていく。
頬の痛みはジンジンして痛いけど、あれほど痛かった心の痛みはもう消えていた。
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