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俺の隣 08
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走って、紙が置いてある机に向かって。
一枚の紙を引いた。
「っ…」
「さあ、みなさんは何を引いたんでしょうか!?…おっと!?会長、立ち尽くしたまま動きません!!はたして何を引いたんでしょうか!?」
放送部の声なんか全然聞こえなかった。
体が固まって、動けなくなって。
ただただ紙に書いてある文字を何度も何度も読み返した。
はたしてこれは偶然なんだろうか…
それとも必然…??
それとも神様が俺のために手伝ってくれたんだろうか…
俺は、紙に向けていた視線を赤軍テントに向けて。
その視線の先に向かって走り出した。
紙に書いてある人にぴったりのお題で。
その紙に書いてある人は絶対あいつじゃなきゃダメで…
あいつ以外考えられなくて…
必死で探す。
大好きなあいつを…
大好きだから。
すごくすごく大好きだから…
一緒にいる。隣にいる。
ただそれだけですごく幸せだと感じられるくらい大好きだから…
すぐ見つけられるはずなのに…
いない。
大好きなあいつはどこにもいない。
「おい、夕貴。誰探してんだよ。」
「もしかして俺??」
「あ、あの!!僕は別に借りられても…。」
「つーか、お題何なんだよ。」
赤軍テントから飛び交うみんなの声。
それに返事をする余裕すらなかった。
だって、あいつが…大好きなあいつがいないんだから。
どうしよう…どうしよう…
不安だけが頭の中を支配していく。
篠原…篠原…
心の中で何度も大好きなあいつの名前を呼ぶ。
でも、それだけじゃ足りない。
それだけじゃ不安が抜けない。
「しの…はら…」
気づいたら、声に出して呟いていて。
でも、名前を呼ぶとすごく落ち着いて、心が温かくなって…。
俺は夢中で大好きなあいつの名前を呼び続けた。
「しの、はら…」
どこにいるんだよ…
「篠原…」
もうどこにも行くなよ…
「篠原。」
俺の前からもう…いなくならないで…
「柊!!」
俺の隣に戻ってきて…
「柊ッ!!」
いつもみたいに俺の隣で笑って…
「柊ッ!!!!!!」
また好きだって言ってよ、俺の隣で…
そしたら、俺も答えるから。言うから。
"好きだ"って…
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