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俺の隣 10
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「先輩ッ!!」
その声に反応して。
声のした方を見ると、そこには俺が探していた大好きな人。
「どうしたんですか??俺の名前叫んで。」
グラウンドの中に入ってきて、俺のところまで駆け寄る。
篠原だ…
本物だ…
今、俺の目の前にいるんだ…
そう思うと、自然と涙が頬を伝っていた。
「え、先輩!?ちょ、どうした、っ!?」
俺は、篠原が近くにいる…。
それを実感したくて、もう離れてほしくなくて…。
篠原の胸に飛び込んだ。
「せん、ぱい…」
すぐ近くで心臓のドクンドクンという音と篠原の爽やかな香水の匂いに包まれて。
篠原が近くにいるんだって。
篠原の近くにいるんだって実感出来た。
それと同時にもう離したくないと思った。
体を離して、俺より身長の高い篠原を見上げる。
すると、篠原も俺を見ていて。
離れていたのはたった数時間なのに、すごく長い間離れてたように思えて。
ひどく懐かしく感じて、また涙が出そうになった。
「どうしたの、先輩。」
「……。」
「先輩??」
体が震える。
動かなくなる。
伝えたいことがたくさんあるのに頭が真っ白で。
何から伝えたらいいのかわからなかった。
「あ、あの、篠原!!」
「ん??」
「そ、その…えっと…」
"好き"
たった二文字の言葉がなかなか言えない。
それはたぶん、その重みを知ってしまったから…
すると、俺の頭にふわりと篠原の手が乗せられて。
優しく撫でてくれた。
「先輩が落ち着くまで俺の話していい??」
「え…」
「俺も話したいことがあるから。」
そう言ったときの目があまりにも真剣で飲み込まれそうだったから…
競技中だということを忘れて。
全校生徒や先生、保護者の方が見ていることを忘れて。
「うん…。」
そう言っていた。
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