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俺の隣 12
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「篠原…」
「ん??」
「これ…」
先走りそうな気持ちを落ち着かせて、頭に巻いていた自分の名前が入った赤色のハチマキを篠原に差し出す。
篠原は何がなんだかわからない顔で首を傾げていた。
「ハチマキ伝説って知ってるか??」
「え??」
「競技中にお互いのハチマキを交換したら、永遠の愛が実るって…。」
「それって…」
「夏休みに水族館の恋のアクアマリンで誓ったけど…。結局は俺が弱くて、周りの目とか世間体とか…。そういうことを気にしてたから…。だから、罰が当たったんだ。恋のアクアマリンで永遠の愛を誓ったのに、こんなことで気持ちが揺らいじゃったから…。」
「せん、ぱい…」
「だから、もう一度…。俺と誓ってほしい。永遠の愛を。」
篠原の手が差し出したハチマキに触れる。
すると、それをゆっくり掴んで。
するりと俺の手からハチマキが離れた。
「知ってたよ、ハチマキ伝説のこと。」
「知ってたの…??」
「うん。俺もしたかったから、先輩と…。だから、俺のハチマキも受け取って。俺とも永遠の愛、誓ってよ。」
「っ…」
首にだらしなく巻いた篠原の名前が入った赤いハチマキをはずして、俺に差し出される。
俺はそれにゆっくりと手を伸ばして、ハチマキを掴んでぎゅっと強く握り締めた。
手をはずさない、篠原と俺。
俺は篠原と繋がったそのハチマキに自然と視線を向けた。
すると、今まで抑えていた気持ちがどんどん込み上げてきて…
「先輩…俺、」
「好き…」
気づいたら、抑えきれない感情を吐き出していた。
「え…??」
「好き…好き…俺、篠原のことが好きなんだ…。」
「せん、ぱい…」
「世間体なんてどうだっていい。周りの目なんてどうだっていい。そんなことよりも、俺は…おまえが傍にいないことのほうが…隣にいないことのほうが嫌なんだ…。」
「っ…」
「世間体とか周りの目とか…そんなことよりも大切なことに気づいたんだ。」
「大切なこと…??」
視線を上に上げて。
俺と篠原を繋いでいるハチマキから篠原に向けた。
「篠原といる…篠原が俺の隣にいる、傍にいる…。それだけですごく幸せだってこと。」
「っ…」
「こんな当たり前のことが本当は当たり前じゃなくて、すごく難しいことで…。そう考えると、今までの篠原とのことが奇跡のように感じて…。」
「先輩…」
「こんな大事なこと…今まで全然気づけなかった。理沙にも散々言われてたのに…。だから、俺、うわっ!!」
ハチマキで繋がっていた俺と篠原。
そのハチマキを篠原がグイッと引っ張って。
俺を抱き寄せて。
「っ!!」
静かに唇が重なった。
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