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エスコート
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三守が必死になって拘束を解こうとしたのが目に入ったのだろう。
どうしたものか、とつぶやきながら反対方向に回り込み運転席に乗り込んだ。
小気味よいドアの音を鳴らせると、車は小さくうなり発車した。
先ほどイけなかったのがあとになって苦しくなって来る。
今度こそひとりで慰めたりしたらどうなるかわからない。
うなじを噛まれることだけはなんとかして避けたい。
だけど苦しい。
二都の目的地にはまだつかないのか。
もはや二都が車を止めることだけを願っていた。
「苦しいか。あと少しだからな」
まるで病人に声をかけるように優しく囁いた。
普段の二都のトーンとは異なるので三守は狼狽した。
こんな二都は知らない。
車は先ほどと同じ方向に向かって走っている。
ネオン街やラブホテルが多い場所に向かうわけでもなさそうなのだが、と思索する。
そんなに遠出するほどの目的地とは何なのか。
規制がかかりそうな建物を考えては消していく。
もはや消す作業は願望にも近かった。
ビジネスホテルというにはあまりに豪奢すぎる建物が見えてきた。
二都は当然のごとく建物の敷地内に車を入れた。
駐車場には名だたる高級車ばかりが止まっている。
レクサスとベンツの間にすべるように二都は車を止めた。
二都は車のドアを開き、エントランスへと1人で向かっていった。
戻ってきた時にはなにやら鍵のようなものを手にしている。
先にチェックインを済ませたのかもしれない。
そのまま三上の側へと回り込む。
「立てるか」
「っ…たて、る」
ホテルに入るには不自然すぎる両手首の拘束が解かれる。
やはり手首は痕が残りそうな赤みを帯びていた。
出口を二都にふさがれている。
逃げようとは考えない方が良さそうだった。
足がいうことを聞かない。
二都に頼るというのもなにか癪に障るので、踏ん張って立った。
「おっと」
すぐによろめいて二都に支えられたが。
そのまま二都は三守の肩に手を回し、器用にドアを閉め鍵をかけた。
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