アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
無駄3
-
三守は深夜のマンションにそぐわぬ大声を出したあとも、イライラしていた。
背後で車が動く気配はなく、視線だけを感じる。
エントランスに向かおうと、角を曲がった。
「あら?どうしたの?仕事?」
「…ッ百合子…」
この時間に、こんなところにいるはずのない妻がそこにいた。
「何をしている」
「何?何って…今日は実家に帰るから、遅くなるって伝えてたじゃない。こんなに遅くなるとは思わなかったけど…」
言っていた。確かに言っていた。
タイミングが悪すぎやしないか。
「あなたこそ、こんな時間にどうしたの?」
「あー…」
首に手をやり、うなじを少しかきむしる。
(本当の理由なんぞ言えるか)
妻の百合子はもちろん、三守がΩであることは知っているし、問題にしたことは無い。
結婚してかなり経つのに、今更『運命の番』が出てきたなんぞ言えるか。
いや、かなり経つからこそ言えるのかもしれないが。
というか、三守は二都のことを『運命の番』だと認めていない。
言う言わない以前の問題であろう。
適当に、仕事だ、と返事をした。
「こんばんは、ご無沙汰してます」
背後に憎たらしい同期の声がした。
急に二都の声がするものだから、三守は無駄にドキドキしてしまった。
「あらぁ!二都さん!こんばんは~!あ、もしかして旦那のアシにでも使われたんですか?」
きゃらきゃらと可愛らしい笑い声をたてながら百合子は二都に近づいていった。
「いえ、彼とは少し遊んできたんです」
飲み、と言わないあたり、さすがだな。
三守の沸点はとっくの昔に突破していた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
30 / 65