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取調べ(仮)
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「…で?」
目の前に物凄い笑顔の百合子が座っている。
頬杖をつき、三守の出方を待っていた。
(これは…詮索というより…取調べ…)
三守はなんとなく緊張して、太ももの上にある手を握りしめた。
百合子が聞きたがっていることは恐らくたった一つ。
「ねぇ、あなた。どうして二都さんのニオイなんかするの?」
来た。
百合子は毎回聞きたいことがあれば、直接言う。
遠回りな言い方をしないところに三守は惹かれたのだが、これが時々怖くなる。
崩さない表情のまま、百合子は首をかしげた。
何も言わないなんてこと、百合子は許さない。
何か言わなければ。
正直に言うわけには行かない。
なにより、三守のプライドが許さなかった。
「いや、だから、飲みに…」
「飲んだだけでこんなにニオイつくかしら?」
「…ち、ちかくに発情期のヤツでもいたんじゃないか」
「ならΩのあなたは誘発されてもおかしくないわね」
「そっ…それは」
「正直に言ったらどうなの。二都さんが『運命の番』だって」
「は?」
百合子が言った事がすぐには理解できなかった。
なぜ、百合子がそんなことを。
三守の沈黙を肯定と捉えたのか、百合子は口を開いた。
「はー…やっぱり…そうだと思ったのよねぇ…」
そうだと思った?
どういうことだ。三守は、二都に対して何の感情も抱いていない。
それに、百合子は二都に会う回数が少ないはずだ。
「…どうしてそう思う?」
「だって、二都さんのあなたを見る目、とっても愛おしそうよ?」
最も聴きたくなかった言葉を、愛する妻に言われた。
明日、カイシャに行きたくない。
素直にそう思った。
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