アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
9
-
「ほらそんな顔すんなって」
「っ」
ぽんぽんと頭をたたかれる。優しい声色で言う彼の言葉に俺は救われた。
それからというもの、彼は何かと俺の元に来て話しかけてきてくれた。
友達ごっこだった奴等は【彼】がいると俺には近づくことはなく、不思議と弟の瑞樹とも家以外で関わることがなくなった。
それらすべては俺に取ってどうでもいいことで、俺は彼と居るだけで幸せだった。
「一樹~」
「?」
「うりゃあ」
「わっ?!」
「はは一樹変な顔!」
「裕太ひどいよううっ~」
「ははっそんな顔すんなごめんって!」
たわいない会話だけど、前までの俺はこんな会話すらしたことなかったから。
クラスの奴らは俺達のことを遠目で見ながら、こそこそ話をする。
でも今はそんなことどうだっていい。彼と一緒だから。
「ん~一樹はちっこくてなんかかわいな」
「っ!」
「大きさもちょうど良いし抱き心地も最高だな」
「ちょっ…裕太っ!」
抱き枕にほしいなんて言われた。
彼はスキンシップが激しい方なのか良く頭を撫でたり抱きつかれたりする。
でも、そのすべてが心地よい。
ぽんぽんと俺の頭を撫でる彼の手。
にこりと笑う俺に向けての笑顔。
彼の笑顔は俺の暗い心に光を届ける。
俺にとって彼の笑顔は至福だった。
…たとえそれが、
仕組まれた事だったとしても。
俺は彼と会えたこと
神様に感謝してる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 20