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なんとなく歩いているとふとあの時の空き教室にたどり着いてしまった。
彼と会ったあの場所。
別に意味はなかった。
なんとなく扉に近づき開けようと引き戸の取っ手に手をかけた。
『…~』
「?」
かすかだが声が聞こえる。
今思うとやめとけば良かったかなって思う。
でもその時は気になって扉に耳をあて聞き耳を立ててしまった。
『なあお前どういうつもりだよ』
『ん?なにが?』
『あいつだよ…一樹の事』
どきりとする。
自分の名前が出たこと、そして声の主が見知った人の声に似ていたから…
いや紛れもなく本人だろう。
聞くべきではないとわかっていても体が動かなくて聞いてしまった。
『はあ?一樹がどうしたんだよ』
『だからお前』
『あいつの事好きなの?』
長い沈黙のあと嘲笑したような彼の笑い声が聞こえ、
『はあ?なわけねーじゃん』
『だよな~』
『前にも言ったろ俺は瑞樹が好きなんだよ…ほら、あいつと仲良くしてたら瑞樹に近づけるじゃん?』
『うあーおまえさいてー』
『うっせえな!あいつだって俺と一緒に入れて幸せだろ』
『今まで誰もいなかったもんなー』
『根暗ぼっち!!』
ぎゃははと教室に笑い声が響く。俺は目眩をおぼえその場にズルズルと座り込んで震える手を握りしめた。
座ったまま、また扉に耳を当てる。
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