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名刺交換
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「お前スーツ似合うなぁ。
……しかも相変わらずモテそうなツラしやがって。
今なにやってんの?」
スーツを着崩した感じは
同じ新社会人には見えない石川こそ
“お前なにやってんの?”と
聞きたいくらいだったのに先を
越されてしまった。
「ざっくり言えば広告代理店の部類かな。
セクションが多岐にあるから
結構移動あるんだよ」
「会社何処?」
「RーGG」
「うおっ!業界人?タレント紹介して!」
いつもこの会社名を口にすると
大概同じ反応をされるけど
石川も然りか。
「何言ってんの?
出来る訳ないだろう。それに世間が
思うほど良いもんじゃないよ、実際は」
「あ、やっぱり?
でもさー何か女優とかと知り合いになれて
遊びまわってる華やかなイメージあるけど」
「まさか、地味だって。
やたら忙しいし雑務だらけで
制作部署なんか徹夜で家に帰れない
とかザラだよ。
僕も入社一年目だから
覚える事多くて案件が重なると
0時回っての帰宅あるしさ」
「何?ってことは制作の方じゃないの?」
「営業」
「あーお前ウケよさそう」
「そういう石川は?」
「S商事」
「あ、良いね。名刺渡しとくから
何か宣伝とかあったら連絡宜しく」
「さっそく営業かけんのか?
抜かりねぇな」
とか言いつつ二人で今更ながらの
名刺交換、とついでにメアド登録。
名刺見て本当に“S商事”なんだな。
と言った僕の呟きを耳ざとく聞きつけて
『コネクション在りきで』
そう悪びれる様子もなく話すあたり
要領の良かった石川らしいと
つい吹き出してしまった。
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