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黒歴史
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「あの頃はホント馬鹿みたいなこと
やれて楽しかったよなぁ。
お前は振り回されて大変そうで」
傍から見ていた分にはそりゃ
楽しかっただろう。
思い出したように笑う石川に若干の
殺意が芽生えそうになったけど。
そうだな……
確かに全てが悪い思い出ばかりじゃない。
最初こそあんな出会い方だったけど
僕自身、あの子といて楽しいと
思ったことの方が多かった。
就職してからは忙しくて
考える暇もなかったけど
どうしてるんだろうか。
四堂君と最後に会ったあの日から
一度も会っていない。
というか連絡先交換してすらしてなかったし。
「そうか、全然会ってないのか」
「うん。まぁそりゃそうだろ、
彼と僕とじゃ元々住む世界が違うしね。
向こうは年齢的には高校2?3?年生
くらいだよね。
勿論、向こうじゃとっくに卒業して
活躍してんだろうね」
「ふーん、そっか。
うちの弟とはたまに連絡取りあってるみたい
だけどなぁ。去年の夏休みは向こうに
遊びに行ったとか言ってたっけか」
「……へぇ」
そう……なんだ。
僕には連絡すらしてこないのに
学級委員長だった石川の弟とは会ってる?
あれ?僕石川の弟より存在的に下?
僕の事、好きだとか言ってなかったけ?
あ、そっか成程ね。
――それが原因だな、きっと。
良い思い出と勝手に思ってるのは
こっちだけで、向こうは違うんだな。
それこそ若気の至りって事で
黒歴史である僕とは関わり合いを
持ちたくないっていう訳か。
まぁ分からなくもない……
そもそもこっちだって本気になんて
してなかったし、あっちだって
きっと今頃は女の子と色々遊んで
忙しいだろうしね。
本当――懐かしい想い出だ。
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