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君の隣
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店を出てすっかり暗くなった路地を歩く。
昔もこうして一緒に歩いたっけ。
数年経って又こんな風に一緒に
歩く日が来るとか
あの頃の考えもしなかった。
「…………」
チラリと横を見る。
――不思議だ。
隣にいる人物は同一人物なのに
まるで感覚が違う。
背丈半分だったあの子が僕より高くなって、
纏う雰囲気も全く異なっている。
しかも会話も仕事の話をしてるとか。
随分大人になったものだね。
「ひとつ向こうのテーブルの
女の子ずっと桐江さんを見てましたよ。
多分、桐江さんのタイプだったかな」
感慨に耽っていた僕は
四堂君のボソッとした小さな声に
我に返った。
「へぇ、じゃもう一度戻って声でも
掛けてこようかな」
ほんの軽い冗談のつもりだった。
「行かせませんよ」
ガッチリ腕を掴まれたその強さに
動けなくなってしまう。
冗談だって笑おうとしたのに
四堂君の目を見てその言葉を飲み込んだ。
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