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過去形
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「…………」
腕を取ったままの四堂君は無言状態、
そして焦れる程の間が空く。
そのポーカーフェイスからも
意図を上手く読み取れなくて
困惑するばかりで苦手だ。
しかも経験上、こういう訳の分からない感覚は
あまり良い結果をもたらさないのが常だしね。
「だったら、この俺と付き合いませんか?」
「な、何言ってんの?
僕、女の子が好きだし、第一彼女が……」
「本当はいないんでしょ?今。
何の為にレイの兄貴まで使ったと
思ってるんですか?」
やっぱり、その情報知ってたんだ。
石川め……あ、兄の方!
そういえばさっき四堂君の言い方が
過去形だった事に今更気が付いた。
「俺との事、前向きに考えてくれませんか?
猶予はかなりあげたつもりですが、
もう少しだけなら待っても良いです」
え??ちょっと待って、待ってよ。
そんな熱っぽい視線を向けられても、
「あ、あのさ、気になるイコール恋愛とは
単純にならないんだよ?
男女じゃないんだから、分かる?」
「単純じゃない事くらい理解してるさ。
だからこんなにもアンタには
手間暇かけてるだろ?」
イラッとした口調と共に掴まれた腕にも
力が込められたのを実感する。
成程……こういう時だけ
本来の君に戻る訳か。
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