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見れないよ
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朝食を食べながら話す君。
そのどれもが不自然な程、饒舌で笑顔で……
本当、嘘が昔から上手くないよね。
相変わらずの下手さ加減に
僕は居た堪れなくなった。
用意してくれたコーヒーですら
喉を通りそうになくてむせてしまう。
「ゴホッ……ゴ」
「大丈夫ですか?桐江さん!?」
大丈夫な訳ないだろ?
君のそんな姿、見せられて
僕が平気だとでもいうの?
「食事終わったら、DVDでも
一緒に観ませんか?」
堪らないのはこっちも同じ。
「それともまだ少し寝ます?
今日は……ゆっくりできるんですよね?」
相槌なんか打てるはずもないじゃないか。
「ゴメン!昨日言い忘れたんだけど、
今日朝一で仕事が入ってるんだよ」
極力彼の顔を見ずにいかにも
平然を装って、そう口にする。
「え?……代役、立てれないんですか?」
だって、それでなくても
声のトーンで君が今どんな顔を
してるなんか容易に想像が付くから。
「うん。本当にゴメン。
他に代われる人がいならしくて、
食事終わったら行っていいかな?
大事な取引相手だから申し訳ない」
「俺……の所よりですか?」
「どこも僕にとっては大事だよ」
「…………同じ、ね」
聞こえないふり、落胆した表情も
目に入れないよう努める。
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