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一昨日の夜、四堂君が
僕のマンションの前で待っていた。
『遅いんですね、いつもこの時間?』
『四堂君!?何してるの!風邪引くよ』
暦の上ではもう冬。
昼間はともかく朝夕の冷え込みは
10度前後まで下がるというのに
いつ帰ってくるかもしれない僕を
エントランスじゃなくこんな外で待つとか。
触れなくても息や顔色から
どれほどの体温か分かるという物。
『こうやって貴方も俺の家で
待ち伏せしてましたっけ』
『僕の場合、不法侵入とかまでやってたけど』
お互い当時を思い出してクスリと笑い合う。
それでも
こんな寒い時は行ってなかった筈。
『こうやって俺が来るの迷惑ですか?』
『そんな事ないよ』
――これがいけないのだと思う。
そうだと何故言ってやれない?
元々相手にキツく言ったり
拒絶するのは苦手だけど、その理由と
現状は自分でも誤魔化しようがないくらい
解離している。
よりによって
君を邪険にしなければいけないのが
何より辛い。
それは彼にとって?それとも自分が?
『明後日、また向こうに戻ります
それまで貴方の顔こうやって見に来て
良いですか?』
僕は首をどちらにも振れなかった。
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