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由紀也の場合
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「ね...?」
僕が軽く腕を引っ張ると僕のしてほしいことがわかるみたい
頬に触れてチュッと音が鳴るようにキスをしてくれる
強請るように顔を近づけると大人のキスをしてくれる
そしてそれが終わるとかならず、「バカ」と軽く小突いて教師の顔になる
僕たちはあれからこんな風に毎日、放課後過ごしている
関係はキス止まりで
この関係がなんなのか....それはよくわからないけどそれでも僕は先生といると救わる
「先生とずっと一緒にいたい」
そういうと「俺もだよ」と笑う
それだけで十分だった
*********
その日、いつものように目が覚めると着替えをすませて階段を下りた
リビングに向かう途中、いつもないはずの父の靴が玄関に並んでいることに違和感を覚えた
「あれ...」
なんでだろう...と思いながらリビングに行くと、ラフな格好の父とエプロンをした母が僕を待ち受けていた
「おはよう!」
「おはよう!顔あらった?」
あまりにも見慣れない光景に僕は返事をするのに少し遅れてしまった
「おはよう...どうしたの?...二人とも...」
すると二人で顔を見合わせて僕に向かって笑う
「やぁね!たまたま今日は二人とも休みよ!」
「久しぶりだからな...みんなで朝ごはんでも食べようかなと思ってな」
そう言ってお母さんはキッチンに入っいく
「由希也...今日学校休めるか?」
お父さんはそういって僕と隣の椅子に座る
「こんなの滅多にないから...な?休んでどっか行こう」
僕を説得するお父さんをお母さんが笑いながら見てる
「学校には内緒でね?一日ぐらい...な!?そうしよう!」
二人があまりにもそういうから僕はその日、学校を休んで二人につきあうことにした
不思議なくらい仲のいい二人
今まであんなにケンカしていたのがウソのようで...
仲のいい家族....あこがれていた絵が目の前にあるみたいな錯覚をおこす
一日、両親とドライブをしながら目新しいものがあれば立ち寄り、おいしそうなものがあれば食べ歩いた
車の中でいろいろな話をして、
最初は意外すぎて、しゃべれなかったけど時間がたつと、僕は自ら話をしていた
ずっと話したかった
ずっと聞いて欲しかった
そして思い出した
いつか見た夢
楽しかった遊園地
お父さんとお母さんがともに笑い、
3人で手をつなぎ、また来ようねと何度も約束した夢を
これは正夢なのかな...
この年で...手をつなぐことはなかったけれど
例えば両親もこの夢を見ていたら
思い出していたら
3人仲良く過ごしていたあの日々を
そして、
戻りたいと思ってくれていたら...
そう願わずにはいられない
穏やかに笑う両親がいつまでもこのままならいい
時にケンカをするぐらいなんてことない
それぐらいなら我慢する
今日こんな風に過ごせるのだから、明日はケンカしても、明後日は、笑えればそれでいい
今日が明日も続いていきますように
「そろそろお腹すかない?ごはん食べに行こうか?」
そう言ってお父さんは車を走らせる
一日は過ぎるのが早い
それが楽しい時間ならなおさらだ
そのまま車はレストランに入っていく
「あれ...」
「覚えてるか?昔はよく来たよな」
そこは、昔三人でよく食べに来ていたレストラン
僕の誕生日とか、僕が学校でなにか賞をとったり、お祝いのたびに来ていた思い出のレストラン
三人で個室に通されて、予約しているようだったことに気付いた
懐かしい店内で三人で席につく
「好きなものを頼みなさい」
そう言ってメニューを見ながら僕はチラチラと顔を隠しながら二人を見る
今日はなんて日なんだろう
三人で出かけて、思い出のレストランで食事をする
今まで悩んでたことが今日一日で全部チャラになっていくような
良かった
本当によかった
仲良くなってこれからもずっとこうやって暮らしていくんだなってそう思った
たくさんの食事にたえることのない会話
レストランにいた時間は二時間くらいだったと思う
お腹がいっぱいになったけど胸もいっぱいだった気がする
そろそろ帰るのかな...なんて思っていた時、お父さんとお母さんは顔を見合わせて確認し合った
「由希也..話があるんだ」
お父さんは僕の顔をまっすぐ見つめ、お母さんは少しうつむきながらお父さんの話を聞いている
時には前後する話に補足を加えたり、今日に限って、二人は本当に上手くいっている...
その時僕は、くだらないけどそんなことを考えていた
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