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由紀也の場合
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先生の腕に絡みついてギュウっと力を込めた
「どうした?」
先生はいつもと何も変わらない
「....」
無言でしがみ付く僕の顔を引きはがすようにしながら僕に聞く
「なんだぁ?どうした?」
間延びしたように聞く先生の目をちゃんと見ることができない
「由希也?」
「先生...結婚やめるの?」
「なんで...」
「今日...廊下で話してるの見た...」
そこまで言うと先生は僕を抱え上げて机に座らせた
「そうか...聞いてたのか...」
目線をあわせて話してくれる先生の目はどこか悲しげで捕まえていないと消えてしまいそうだった
「僕の..せい?」
恐る恐る聞くと首を振って否定する
「まさか...そうじゃないよ」
そう言いながら僕の頬を撫でていく
「花田先生には悪いけど...好きでないのにそんなことできないだろう」
「もう...好きじゃないの..?」
心なしか自分の声が震えていく
「もう....か....ちがうな..最初から...きっと違ってたんだ」
そう言った先生の声もなぜか震えている気がして、先生と目をあわせる
先生の顔はひどく辛そうで、それが一層僕の心をきつく締めあげる
「大丈夫だと思ったんだけどな....やっていけるって....思ったのに...」
そう言いながら僕を抱きしめて肩を震わせる
「せんせい...」
「本当は今すぐにでもお前を連れ去ってしまいたい」
きつく抱きしめられて言われた言葉は一生忘れることはないと思った
その一言はきっと先生の本音
先生はずっと誰にも言えない顔をもっていた
苦しかったはずだから
辛かったはずだから
僕だけはわかってあげられるよ
僕だけは先生の味方だよ
だから泣かないでよ...先生
「連れて行って?先生」
思わずつぶやいた僕に先生は一瞬、驚いたようになったけれど、またすぐに抱きしめていった
「ホントにバカだな..お前は」
ため息と一緒に吐かれたその言葉にどんな意味があるかなんてもうどうだっていい
あるのは先生を好きだという気持ち
何もかもどうでもいいくらい先生が好き
両親のことも花田先生のことも、学校も友達も何もかもどうでもいい
先生の頭を悩ませるのが僕のことであればいい
僕は机から降りて先生に触れる
「由希也..?」
僕はそのまま先生の足元に膝まずいた
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