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職員室という楽園、旭川先生という天使。
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無事、俺たちは空き教室から脱出することができた。
いや無事じゃねぇんだけどな。
脱出する代わりに大切なものを失ったし、午後の授業すっぽかしたし、天野には蹴られるし。
「…クソガキが」
あの後天野は授業に出れなかった事と時間を気にして寮へと帰って行った。
「白衣、洗って返すから」
そう言われて、白衣までも持って行かれてしまった。
…まぁ、あんだけ汚してくれてたら返されても迷惑だったんだけど。
問題は授業だ。
教師が授業をすっぽかすだなんて……
「終わったよなぁ…」
授業が、ではなくて俺の教師生活がだ。
なんて言い訳をしようか、校長の嫌そうな表情が想像ついて気が重たい。
はぁ、と思いつめたため息の後に職員室を除けば。
「あ、旭川先生」
「ーッッ!!!!!」
旭川先生はわかりやすく動揺して跳ねた。
読んでいた本を落としてバサバサと音を立てる。
その音にも驚いて冷や汗を流し、なんだか忙しそうだ。
「…あ゛ー…、…さっきはどうも。おかげで出る事が出来ました」
「っうん、い、いや、いいんだ。それに邪魔したみたいだし………でも授業サボるのはよくないね」
「…すみません。」
別にサボりたくてサボったわけでは無いんだけど。ここで言い訳をするほど俺も馬鹿ではなかったので大人しく反省の色を見せる。
「僕がほたちゃんの授業貰ったって言っといたから」
「え?……もしかして、フォローいれといてくれたんすか?」
「うん。だからこれっきりにしてよね。」
「ありがとうございます、助かります」
本気で助かった。
バッと顔を上げて先生を見ると、苦笑いを返してくれる。
…あれ?旭川先生が天使に見える。
なんだかんだで俺を見捨てないところは母親を連想させる様で、ついつい俺も甘えてしまう。
ありがとう、先生。
ホッと息を下ろして安堵をすれば俺はまた机につく。
あ、そういえば掃除忘れてたなぁ。
なんて、パッと思い出したけど
どうでもよかったので俺は忘れる事にした。
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