アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
最後のチャンス
-
.....くそ.....じゃあどうすりゃ良いんだよ...
分かんなくなった俺は、日向を叱る様な目付きで睨みながら言った。
「.......お前、いい加減にしろよ......。志麻にだって迷惑なんだよ」
そう言うと、日向は下を向いたまま静かに震え始めた。
「は、陽樹先輩.....!!迷惑じゃないですよ!それに日向が.....っ」
志麻があわあわと話し始めたが、俺がしっ と黙る様に指を口元につけると、静かになった。
「......おい日向、わかったか。帰るんだよ」
相変わらず何も言わない日向に痺れを切らし、玄関に入った。
「志麻、入っていいか」
一応聞くと、迷いながらも はい。 と答えた。
俺は、靴を脱いでずんずんと日向の方に迫った。
.....けど、日向は一歩も逃げなかった。
....諦めたのか?
そう思い、日向の腕をつかんでから顔を覗き込んだ。
「......、日向......」
その目には、たぷたぷと涙が溜まっていた。
......どうすれば良いんだよ.....。
俺が固まっていると、またもや志麻が口を開いた。
「......先輩.....」
「...あ?」
ほんの数秒黙った後、すぐに続けた。
「.....日向、ずっとずっと泣いてました。」
「.....?...おう」
「それだけ、陽樹先輩が好きなんだって思います。」
「...........おう.....」
「............答え、出して下さい。これ以上、日向を苦しめないで下さい.....」
それだけ言うと、志麻は俺の腕をとり、外に引っ張った。
「ちょ、しま....っ、やだ.....俺いかない....っ」
細く震えた声が聞こえた。
腕の中の日向の声だった。
「.......だめ!」
びくっ、と日向は固まり、志麻に伸ばしていた腕を下ろした。
.....志麻は申し訳無さそうに日向を見て言った。
「........ごめん.....俺、やっぱそんな風に思えない。......これが最後だから、陽樹先輩にチャンスあげて.....。」
“そんな風に“が何だか分からなかったけど、志麻は言い切ると、ゆっくりドアを閉めた。
その目はまっすぐ俺を見ていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
68 / 117