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2の檻……海
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愁さんはすぐに帰ってきて……
「医者を呼んだ。心配するな、怖いやつじゃないからな。」
と言ってベッドに腰掛けた。
俺は頷いて返事をした。
「あいつが来るまで寝とけ」
と言われたので大人しく寝転んでいた。
そのお医者さんが来るまでの間愁さんは何も喋らず俺の近くで読書をしたり何かをパソコンに打ち込んだりしていた。
俺はその姿を眺めていた。
1時間くらい過ぎた頃、扉が叩かれた。
トントン
「愁く〜ん?来たよ〜!」
愁さんが返事をする前に男の人が入ってきて。
思わずビクッとなって愁さんにしがみついてしまった。
「いきなり入ってくるな。昂(こう)!」
「ん?あっ、ごめんね〜?びっくりさせちゃったかな〜?」
と愁さんに昂と呼ばれた人はニコニコしながらベッドに近づいてきた。
「君、久しぶりだね〜元気になった?」
と声をかけられて首をかしげた。
久しぶり?初めて会った気がするんだけど……
「お前を覚えてるわけ無いだろ。あの時意識なかったんだぞ?」
「あっ、そっか!」
「はぁ……海。この昂はな最初にお前の怪我を見てくれたやつだよ。」
いつも来てくれていたのがお爺ちゃんのお医者さんだったからびっくりした。
「んで?今回はどうしたの?」
と明るい声で聞かれて……
「海の声が出なくなった。見てやってくれ……喉の痛みはないと言っていたが……」
「ふ〜ん……本当に喉痛くないの?えっと……海くん?」
そう質問されてうなづいて答えた。
「じゃあ、ちょっと喉見せてね〜はい、口を大きくあけて〜あ〜ん」
言われたとおり口をあけてあ〜んとした。
しばらく、喉を見たり首を触ったりして………
「う〜ん、たしかな、喉は腫れてないね……ということは、あれかな〜失声症かな……心因性の。」
「心因性か……ストレスか?」
「う〜ん……海くんの場合はストレスというより、精神的ショック……トラウマとかかな〜」
と昂さんは話していた……
それから、愁さんは少し考えて………
「落ち着いたら治るのか?」
と聞いた。
「うん。心因性だからね〜ゆっくり治していくといいと思うよ?」
と昂さんはニッコリと笑って答えた。
治るのかという質問は俺も気になっていたので聞けてよかった……
だけど………
トラウマ……俺にとってのトラウマってなんなんだろう………
それに、声も出なくてなんにもできない俺はやっぱり捨てられるんじゃないかと………一気に不安が押し寄せてきた。
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