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翔さんからの電話
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まずはどこから話そう。
今思うと、最初の電話で気が付くべきだったんだ。
でも採用の電話が来たことに喜んでいた俺はそんなとこまで頭が回らなかった。
翔さんの言葉の意味と、俺がこれからどういう扱いをされるかってことを。
俺がバカだった。
人の声と見かけには絶対に騙されてはいけないってのが俺の教訓だ。
ー電話ー
『こんばんわ。この店のオーナーの清水 翔と言いますが、深谷 俊希くんですか?』
『よかった。高卒ですよね、僕がオーナーの翔です』
『幾つか僕と約束してください、あぁ、安心してくださいね。そんなに厳しいのではないんで』
『ただちょっと……。ふふ。いえ、まぁ明日店に来た時に言いますね』
『そうそう。明日からもう家に住み込んでもらいますので、荷物はちゃんとまとめてきてください』
『しばらく家には帰れませんので。いや……帰しませんの方が正しいのかな』
『はい。では、お待ちしております。明日の午後8時にウチにいらして下さい』
ガチャン。
ツーツーツー。
ほとんど、俺は何も喋らないで向こうが一方的に話して電話は切れた。
でも、まぁ決まったのは明日からその店に住み込むこと。
俺は夢にまで見たパティシエに一歩でも近づけるという嬉しさで胸がいっぱいだった。
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