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個人レッスンを終えましょう。
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それから翔さんはテキパキと俺に基本事項を教えてくれた。
卵の割り方、混ぜ方、卵黄と卵白の分け方………など知ってるようで知らなかったことが意外と多かった。
時計は夜の11時を回った。
「今日はこの辺でやめとこっか。まだまだ先は長いんだし、あんまり焦ってやってもそんなすぐにうまくいくってもんでもないからね」
「はい。ありがとうございました!!」
そう言って俺は頭を下げる。
よかった。
なんとか無事に終えることができた。
卵を割るときのあの一回以外はこれといって何もなく終わった。
「ここは僕が片づけとくから、俊希くんはもうシャワー浴びて寝といていいよ」
「いや、でも俺が洗います!翔さん明日朝早いし、俺が付き合ってもらったのに洗わせるわけにはいきません!」
それよりも何よりも、翔さんに親切にされるのが怖いってのが本音だが。
そんなこと口が裂けても言えやしない。
「朝が早いのは俊希くんも同じでしょう?それに、後がないのは俊希くんの方じゃない?」
「え、と……。はい」
そうだった……。
俺にはもう明日から寝坊は許されないんだった。
朝のことが脳裏に浮かぶ。
長くて濃い1日だったせいで、忘れていた。
「ね、だから今日は僕がここの片付けはやっとくから先にシャワーあびて寝てていいよ」
「じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます……」
二度とあんな惨事を招くわけにはいかない。
「うん。じゃあ、また明日。お疲れ様」
「お疲れ様でした!」
そうして俺は、翔さんに片づけを任せてキッチンを後にした。
危機をなんとなく察知していたにもかかわらず、翔さんの親切に甘えてしまった自分を心底悔やんだのはもう少したってからのお話……。
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