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あついココアに気をつけて。3
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「俊希くんの口から少しココアの味したから僕も飲みたくなってきちゃったなぁ」
何事もなかったように、話し続ける。
ここで赤くなったり、照れたりしたら負けだと自分に言い聞かせる。
顔は多分もう真っ赤になってしまっているだろうけど……。
冷静を装って翔さんに尋ねた。
「俺のでよければ、ココア、飲みますか?」
ぐいっと両手でココアを翔さんに差し出す。
だけど翔さんは首を横に振った。
「だいじょぶだよー。それ僕が俊希くんの為に入れてきたやつだし。それともそんなに僕と間接キスしたいの?」
「いや!違います!」
俺はココアをすぐさま自分の元へ引き寄せて、黙々と飲むことに徹した。
さらっとした顔でこんなこと言ってくるから、本当にこの人は侮れない。
「俊希くんが口移しで飲ませてくれるなら、ちょーだい♪」
「ぶっは……」
「あはは、嘘だってば。ゆっくりお飲み〜」
嘘が嘘に聞こえませんってば……。
じーっと俺がココアを飲む姿を真隣で見ていた翔さんがまた口を開いた。
「俊希くん、本当子供みたい」
先ほどまでのにやっとした笑顔とは違い、翔さんは俺を見てクスクスと笑う。
「こんな風に誰かが一緒にいてくれるって久しぶりだけど、やっぱりなんかいいね」
不意に、翔さんの顔に影がかかった。
…………何か、あったのかな。
「ずっと、一人だったんですか?」
「んー、だってまだオープンしてないし、最近はそうだったかな」
翔さんは、そう言いながらはぐらかしたように笑い、俺の頭をポンポンと撫でた。
「ココア飲み終わったら、ドアの前にコップ置いといてね。僕が眠る前に回収しとくから」
そうして翔さんは、しゃがんでいた腰を上げて俺の部屋から出て行ったのだった。
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