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あついココアに気をつけて。4
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床に座り込んだまま、ちびちびとココアを飲み続ける。
『こんな風に誰かが一緒にいてくれるって久しぶりだけど、やっぱりなんかいいね』
先程の翔さんの言葉が何故だか頭から離れない。
俺たちは出会ってまだ1日しか経ってないし、そこまで踏み込んで聞けるようなことでもないけど。
ずっと笑っていて何かを企んでるようなイメージのある翔さんだからこそ顔にかかった影が気になってしまうんだろう。
「まぁいっか。俺には関係ないことだし」
聞いたところで、また笑顔ではぐらかされるだろうから。
それに翔さんの言う通り、まだオープンしてないってのもあるだろうし。
これからオープンまでに翔さんの手を煩わせないことは勿論、ちゃんと役に立つ人間にならないとな。
この店にとっても、翔さんにとっても大事な時なんだから。
改めて思うと、こんな時期によく俺なんかを雇おうって思ってくれたもんだ。
翔さんは厳しいけど、なんだかんだ優しい。
ココアとか入れてきてくれる時点で。
そんなことを思うと自然と頬が緩んだ。
「うわぁー、気持ち悪りぃなぁ、俺」
自分のほっぺを触りながら独り言が溢れる。
翔さんとのやりとりで冷めてしまったココアをそのあともゆっくり、ゆっくりと舌で味わいながら最後の一滴まで飲み干した。
「ごちそうさまでした」
静かに手を合わせる。
そして空になったマグカップをドアの前に起き、急いでベッドへと入った。
明日からは絶対に起きれるように。
3時に起きろって言われたから、ちゃんと目覚ましを2時にセットするのも忘れずに。
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