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夏が近いせいか、少し蒸し暑い。木々は鮮やかな緑に染まり、風はその香りを含んでいた。秋人はアイスが溶けてしまわぬよう急ぎ足で神社の階段をあがり、途中庭の狛犬像に「ただいま」と帰りの挨拶をし家へとむかう。
玄関の前までくると秋人はその歩みを止めた。微かに痛む胸に手をかさね、目を閉じる。秋人は、この痛みの正体が「不安」なのだとわかっていた。
「サイカさん……。」
この扉の先にサイカさんはいてくれるだろうか。また、一人になってしまうのではないか。秋人の不安が渦を巻いて彼の胸を締め付ける。
ふだんは軽い扉が最近ではやたら重い鉄の扉のようにかんじてうまく開けることができない。秋人は一つゆっくりと息をはいた、そして扉に手をかける。
重い……。
力を入れるが思ったようには開かない。
足にアイスの袋があたる。
「サイカさん……………。」
ガラガラガラガラ
あんなに重かった扉が急に開いた。
「えっ!?」
驚き思わず声が漏れた。そして目の前にはのサイカの姿が…。
「秋人、おかえりなさい。」
サイカは笑顔で秋人を出迎えた。
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