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二人は白い鳥を治療するため居間へと移動した。
ちゃぶ台の上から余計なものをどけ、綺麗で清潔なタオルを敷く。
「うわぁ!よく見たら血だらけっ!可愛そうに…サイカさんこの子大丈夫ですよね?!良くなりますよね?」
先程見た時にはよくわからなかったその怪我に秋人は思わず不安になってしまう。
「大丈夫だよ、血ある程度止まっているから。でも傷口からバイ菌が入ってしまったらかなり危険だから早く治療をしなくてはいけないね。」
秋人はサイカの言葉に少し安心する。
そして、何か自分にもできることがあるかと、サイカにたずねた。
「じゃあ、清潔なタオルとお湯を持ってきてくれるかな?あと、包帯とかあればそれも。」
「わかった!待っててください!すぐ持ってきますから!」
秋人はそう言うと、居間を飛び出して行った。
サイカはそれを見送ると薬の準備を始めた。着物の袖からいくつかの薬剤を取り出すと1つ1つ丁寧に開けていく。
「秋人にと思って作っていたのが、こんなところで役にたった…。」
サイカが薬の準備をしていると、程なくして秋人が戻ってくる。
「サイカさん!はいっ!清潔なタオルと、お湯!!あと包帯にバンドエイドに、あれにこれに…。」
なにやら頼んだもの以上に沢山の物を持ってきた秋人にサイカは思わず笑ってしまう。
「じゃあ秋人、傷口をお湯で濡らしたタオルで優しくふいて、それから、そこにある薬をこの小皿に入れて残りのお湯でといてくれる?それで粘り気がでたら傷口に塗ってあげて。」
「わかりました!」
秋人は言われた通りに作業を行う。その横ではサイカが何やら薬研でゴリゴリと作っていた。
「サイカさん、それはなんですか?」
「ん?これかい?これはね、傷を早く治す薬。今秋人が塗っているのは化膿止めとか消毒とかの効果がある薬だよ。」
「そうなんですか!サイカさん凄いな!あっ塗り終わったけど包帯巻きますか?!」
「ありがとう。うん、そうしてあげて。」
秋人はゆっくりと丁寧に包帯をまく、サイカは薬をお湯でとくと、小さなスポイトで鳥の口に流し込んだ。
コクコクコク…。
どうやらうまく飲み込んでくれたようで、一安心する。サイカは秋人に鳥が眠れるようにタオルで布団を作ってもらいそこにそっと寝かせた。
「これで、もう大丈夫なはずだよ!もしかしたら傷が多かったから熱が出るかも知れないけど…。でも、たぶんこの子は回復力高いだろうから大丈夫!」
「良かった~!さすがです!サイカさん!!そんなことまで分かるなんてっ!」
キラキラとした尊敬の眼差しをおくってくる秋人にサイカは苦笑いしながら答える。
「いや、この子のなかなかみない特別な種族だからね~!」
「そうなんですか!?」
(種族??)
秋人は小さな疑問がありながらもそこまで気にしてはいなかった。
この時、詳しく聞かなかったことが後にとてもビックリすることになるとも知らずに。
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