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53(サイカ)
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あれから秋人は、白い鳥につきっきりになっていた。食事も風呂もすぐに済ませてはずっと白い鳥を見ていた。
寝かせておけば心配要らないのだが、やはりどこか不安なのかずっとそばで見守っている。
サイカはそんな秋人を見つめながら、今後のための薬を作っていた。
「秋人、そろそろ寝る時間ではないの?」
サイカの声に秋人は鳥から顔をあげる。
「サイカさん…。俺今日はここで寝ます!」
(言うと思った…。)
サイカはあまりに予想通りの反応に思わず苦笑いをしてしまう。
秋人はというと、さっそく寝床を用意するべく自分の部屋へと走って行った。
サイカは、作り終わった薬を丁寧に包むと袖の中にしまう。そして秋人を手伝うべくその後を追った。
秋人の部屋へつく途中で、布団を抱き抱え前がよく見えずによたつく秋人がいた。
「秋人~、お布団一人で持てる?」
心配で近寄るサイカに、秋人は「大丈夫ですっ!」と言うとまた歩き出した。しかし、数歩歩いたとたん、布団の上から枕と目覚まし時計が落っこちてしまう。
ボスっ!!
ガッシャァン!!
「あっ!!」
秋人は布団を持ちながらそれらを拾おうとするが、当然ながら上手くいかない。
サイカは無言でそれを拾うと、秋人の持つ布団の上にのせる。
そして、今度はその布団ごとひょいっと器用に肩に担ぎ上げた。
「危ないから、僕が持つよ。」
サイカはあいた片手で秋人の肩をそっと押し、先に行くように促す。
しかし、秋人は何だかポカーンと口を開けたままサイカを見つめていた。
(どうしたのかな?!僕なんかまずいことした?!)
「えっと…?秋人?行かないの?」
動かない秋人に、今度は肩をトントンと叩き聞いてみる。
すると、はっ!としたように我にかえった秋人は、キラキラした目でサイカを見つめた。
「凄い力ですねサイカさん!!その布団じいちゃんが俺が寝心地いいように、分厚くて何だかよくわかんない効果の磁気?みたいなのが入ってるやつなんですけど、めちゃくちゃ重いんですよ!それを軽々と……。」
「そうなの?あんまり気にしたことなかったけど…。でも、秋人の役に立てたなら良かったよ。」
「本当に凄いです!めっちゃかっこいいですっ!!」
「えっ?」
秋人の最後の言葉に、驚いたサイカは思わず聞き返す。
「僕、かっこいいの?」
「あっ!………。」
みるみる顔が赤くなっていく秋人。「ちがうんですっ!いやっ!ちがくはないな?んっ!?」と何だか一人で百面相をしている。
サイカは、秋人に「かっこいい」と言われた事がなんだかとても嬉しく、ちょっぴり気恥ずかしかった。
「ありがとう秋人。とっても嬉しいよ!」
サイカはニコニコと笑いながら片方の手で秋人の手を掴むとゆっくりと歩き出す。
(嬉しい……。秋人…可愛いなぁ…抱き締めたい………。)
サイカは心で思いながら、繋いだ手に少し力をいれ居間へとむかった。
後で秋人がゆでダコのようになっていた事をサイカは知らない…。
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