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プリンの皿を一人洗う秋人は、背後に近づいて来ているその人物に気づかなかった。
ふわりと花の香りがしたと思えば、次の瞬間には抱き寄せてられていて秋人は驚きでプリンのカップをシンクに落とす。
カシャンっ!
首だけ後ろを向けた秋人はその人物の姿に胸がドキッとなるのを感じる。
「えっ?!サっサイカさん?!」
振り返るとそこには、秋人の肩に顎をのせて目をつぶるサイカの姿があった。
首筋にサイカの髪が触れくすぐったさから「んっ…」と声が漏れる。
サイカは秋人のお腹にまわした腕に力を入れ、ぎゅっと抱きしめる。
「サイカさんっ?!」
何度名前を呼んでもサイカから返事はなくずっと目をつぶったままだった。なんだか様子がおかしいと思った秋人は、濡れた手を近くにあった布巾でふくと腕にまわされた手に自分の手をそっと重ねる。
「サイカさん…どうかしたんですか…?」
触れた手からサイカの体温をかんじる。
秋人は抱きしめられている事にドキドキしながらサイカの返事を待つ。
蛇口から水がシンクに落ちる音が二人の間に響く。
「秋人…。」
「なんですか……?」
「秋人……秋人…。」
サイカは目を閉じたまま秋人の首筋に顔をうめ、スリスリとすりつけると何度も何度も秋人の名前を呼んだ。
「サイカさん…?」
「………………僕自身この感情が何なのかよくわからなかったんだ…紅君と秋人が手を繋いでいる姿を見てから、ずっと胸のあたりがモヤモヤして、秋人に触れたくて触れたくてたまらなかった。」
「えっ?!」
(それって…どういうこと……?)
サイカの言葉に動揺し目を見開く秋人。
そんな秋人をよそに、サイカはまわした腕を解くと、秋人の肩を掴みくるりと自分のほうへ向かせる。
そして、また抱きしめなおすと、その髪に指を絡ませゆっくりとすいていく。
「でも、今わかった……。」
そういったサイカの顔は何だか嬉しそうなホッとしているような感じで、その瞳は大切な物でも見ているかのように優しく細められている。
(うわぁ…。)
その姿に顔が赤くなるのを感じた秋人はサイカの胸に顔をうずめ隠す。
「秋人、可愛い……。ねぇ秋人も僕を抱きしめて??」
「………。」
「秋人…お願い…。」
耳元で聞こえるサイカの声に、腰の辺りがゾクリと震え秋人の心臓の鼓動をよりはやくする。
おずおずとサイカの体に腕をまわしきゅっと抱きつくと頭上からサイカの嬉しそうな笑い声が聞こえた。
「ふふっ……。」
サイカは満足したように秋人の髪を撫で耳元に唇を寄せると「ちゅっ」とキスをした。
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