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再び紅を座らせ、サイカは微笑んだ。しかしその微笑みには普段にはない企みのようなものがにじみ出ていて、紅は少し身構えながらサイカが口を開くのを待つ。するとサイカはすぐに話を再開した。
「僕、秋人には言わないでおこうと思うんだ。」
「…えっ?!」
紅はサイカの考えがわからず頭の中は?でいっぱいだった。何故すぐに言ってやらないのか、もしかして彼は意地悪なのか、もしくは言えない何か大変な理由が隠されているのか?などと的外れな事まで考えていた。
しかし、そんな考えはすぐに消えてしまう。
「紅君知ってる?人間の間ではサプライズってやつが流行ってるみたいなんだよ。」
どこか悪戯っ子のような顔で楽しそうに話をするサイカ。
「サプライズ…?」
「そう、サプライズ。何でもそれは相手にその事を秘密にしておき、その日がきたらばらして驚かすらしい。」
「それのどこがよいのだ…?」
意味がわからないといいたげな紅にサイカは苦笑いしながら視線を自分の手元にうつした。先程の悪戯っ子のような雰囲気ががらりとかわる。
伏せられた彼の目元には長い睫毛によって影ができていて何だか儚げに見える。
サイカは目を伏せたまま何かを思い出したかのように薄く微笑んだ。その表情は本当に綺麗で、紅は一瞬息をのむ。
「わからない…。しかしこの間TVで見た女の子は、「この前同棲してる彼氏が私の誕生日なのに仕事はいったから帰り遅くなるって言ってきて、寂しいなって思いながら家に帰ったんです。でもいざ帰ったら部屋のなかスッゴい飾り付けされてて、ケーキとかも作って私の帰りを待っててくれてて、凄く感動したんですよ~!」って本当に嬉しそうに笑って言ってたからきっと人間はサプライズが嬉しいんだと思うんだ。僕も最初はすぐに言おうと思ったんだけど、その事思い出したらさ、僕も秋人にあんな顔させたいなぁ~って思っちゃって…。」
視線を手元から紅にうつしたサイカは、「協力してくれる?」とちょっと照れくさそうに目元を赤く染めてそういった。
それを見た紅は、自然と口角が上がり微笑む。
「いいんじゃないか…。俺もそのサプライズとやらに喜ぶ秋人を見たいしな!」
紅の言葉な安堵したサイカは、「ありがとう!」と言うと、体育祭当日の話をはじめた。
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