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初デート:犬
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オレ達の教室から3階分の階段を上ると電気もない屋上へのドアがある。
ドアにはガラス窓が付いてるけど、それもすりガラスっていうか、白いもやがかかってて、
屋上前の小さな踊り場っぽい空間はやけに薄暗かった。
「んでもさ、それ本当に屋上のカギ?」
『まぁ見てろって。』
キーホルダーについた鈴がちゃりんと小さな音で鳴る。
シリンダーが回って鍵が開いた。
黒井がドアを開けるとそこには、夏の始まりの青い空が広がっていた。
「うわぁ…本物だったんだ...。てか、三階分階段上がっただけなのに、空めちゃくちゃきれいじゃん」
どこまでも透き通って見える青に、何も通さない白い入道雲がかかっている。
まだ本格的な夏は来ていないのに、もう夏なんだなぁと感じさせられるっていうか・・・
『当たり前だろ、俺さぼりは毎回ここなんだ。』
黒井はこの風景の中でいつものように退屈そうに立っている。
青い空に、絶妙に隙間を作って流れる雲
風が吹いて少し長めの黒井の髪をさらった
うっとうしく感じたのか毛先を指に絡めて避けた
なんていうか、ただそれだけなのにすごくきれいだと思った。
髪の侵入を避けるために伏せられた目とか
毛先に絡めた男にしては細くてきれいな指とか
白くて滑らかそうな肌とか
細すぎるせいか大きめに膨らむワイシャツとか
写真に撮りたい…。写メとかじゃなくて、一眼レフで。
もう、それはそれは高性能なやつで・・・。
この一瞬をとどめておきたかった。
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