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まあ、そんなわけで久しぶりに立花くんも見学に来ているからってことで、その辺のことを色々聞いてもらいたくて、ジョーの控室に突撃したわけだけど。
俺の話を聞いてジョーは未だに刺々しいし、立花くんはなぜか嬉しそうに笑ってるだけで俺の求めていた答えをくれないんだ。
「前に立花くんが言ってた俺の欲しいものが意外と近くにあるっていうのは彼のこと?」
「さあ、それは僕が答えることじゃないですよ。誰かに言われて気付くんじゃなくて、保科さんが自分で気付かなきゃ意味がないです」
立花くんはニコニコしながらも俺に甘い答えは与えてくれない。
確かに、立花くんの言う通り第三者に答えを求めるのは間違いなのか。俺が自分自身で気持ちを見極めなきゃ、過去と同じ過ちを繰り返すだけ・・・なのかもしれない。
「うーん、そっか。そうだよね」
「はい。そうです」
なんとなく納得できた気になって、呟いた俺に立花くんは微笑んで頷いてくれた。その笑顔は邪な気持ちのない今の俺にも十分可愛く見えて、思わず抱き締めたくなっちゃうほど。
「おいっ、あんた!何やってんだよっ!!」
つい欲求のままギュッと立花くんに抱き着いたら、ジョーが空かさず叫んで大慌てで俺と立花くんを引き剥がしに来た。
その慌てぶりが可笑しくて、引き剥がされまいと立花くんを更に抱え込む。俺よりずっと小さな立花くんは俺の腕の中で暴れてる。それでも叩いたりされないのは、俺が面白がってやってるってわかっているからだろう。
「ふざけんなよっ、離れろ!!」
俺の戯れはジョーには冗談にはならないらしく、さっきよりも大きな声で叫びながら立花くんを抱えたままひょいひょい避ける俺を追いかけてくる。それが面白くてケラケラ笑いながら三人で騒いでいると、不意に控室のドアが細く開いた。
「・・・あの、何度かノックしたんですが楽しそうにされていて返事がないので勝手に開けてしまってすみません・・・ジョーさんの衣装、回収させて頂いてもよろしいですか?」
そう言って琉聖くんがドアの隙間から遠慮がちに顔を覗かせた。
「「「・・・・・・」」」
三人で思わず固まってしまう。
俺の腕の中には立花くんがいて、ジョーはそんな俺達を引き剥がそうと立花くんの背中側から腕を伸ばしている。
ジョーと俺で立花くんを奪い合ってる・・・まさにそんなシーンだ。
こんな場面、琉聖くんに見られたらヤバイ。
「あ、あの・・・琉聖、くん」
「・・・休憩中に失礼しました」
とりあえず何か声をかけないとと半ばパニックになりながら、琉聖くんに声をかけたけれど、返事もしてもらえずに一切こちらを見ることもなく琉聖くんはジョーの衣装だけを持って、出て行ってしまった。
「あんたいつまで呆けてんだよ。さっさと裕を返せ。それから今追いかけねぇと、後悔するんじゃないですか?琉聖さん、泣きそうな顔してましたけど」
身動きできずにいる俺から立花くんを難なく取り戻して、自分の腕の中に抱き込んだジョーは呆れた声でそう言った。
・・・琉聖くんが泣きそうな顔してた?
キリッと感じたことのない痛みが胸を襲う。
誤解させて、傷つけちゃったんだ・・・琉聖くんがそんなことで泣くなんて嫌だ。俺のせいで傷ついて泣くなんて、絶対駄目だ。琉聖くんの笑顔は見たいけど、傷ついた涙は見たくない。
「保科さん、早く!」
「・・・ありがと。ジョー、揶揄ってごめんね。埋め合わせはまた今度!」
立花くんにも背中を押されて、俺は意を決して控室から飛び出すと琉聖くんを探して廊下を猛ダッシュで駆け抜けた。
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