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二人で入ったのは、チェーン店のカフェだった。
肌寒かったので、ホットコーヒーを頼む。西野は、カフェモカを頼んでいた。
向かいの席で、隣には同い年くらいの派手な女性が二人で座っていた。
西野は、清楚で可愛らしい。優しくて、明るくみんなから人気があった。
「なんかごめんね、みどりくん。時間とらせちゃって」
「いや、俺も暇だったから。」
「なにしてたの?」
「ホームセンターでゲージを買ったんだ、カメの」
西野は笑った。
「みどりくんみたいなかっこいい子がカメって不思議だね。どこかで買ったの?」
「いや、友人が拾ってきたんだ」
西野はきいろを知らない。けど、俺が同居をしていることは知っている。
「みどりくんって彼女つくらないの?」
西野は会うたびに俺にこの質問をする。
毎度のやりとりにうんざりした。
「....好きな人はいるんだ。けど、相手は俺を恋愛対象としてみてくれないから」
西野はええっと、驚いたように目を見開いた。
「みどりくんみたいなイケメン、無理なこいるんだ。わたしさ、みどりくんみたいな真面目で誠実そうな優しいイケメンと付き合いたかったなぁ」
西野は悲しそうに笑った。
彼女は自分の話をしにきたのだ。だから、取ってつけたように俺はきく。
「彼氏とうまくいってないの?」
西野の彼氏は俺たちのサークルの先輩だ。
コミュ力が高く、面倒見もよい。
「なんか、浮気してるんだよね。怒っても全くなおらない。それに泣きついてくるし」
「西野は好きなの?好きじゃないなら別れた方が」
「どうしようもなく好きなの。浮気されて都合いい女として扱われてるのに。駄目男なのに彼の中から私が消えるのが耐えられないの」
西野は涙を浮かべていた。頬を伝った涙を隠すかのように、西野は立ち上がり、「トイレに行く」といった。
西野の背を見送りながら、俺は黒いコーヒー
の水面をみた。
西野はどうしようもない感情に悩んでいるのだろう。想いはどうしようもならない。俺のきいろへの想いと同じように。
きいろは、学校でなにをしているのだろう。講義をきちんと受けているだろうか。ぼんやりと考えていると、隣のテーブルの話題が耳に入ってきた。
「そうえばさ、マキ、彼氏とうまくいってんの?」
マキと呼ばれた茶髪の派手な女性は、スマホをいじりながら答えた。
「なんか、お人形みたいに容姿は完璧なんだけど、人間味感じないのよ。怖くて。それに、私彼の遊び相手のひとりでしかないから。彼氏じゃないわよ」
女は不服そうだった。
「写真みせてよ、ないの?」
マキは、スマホをしばらく弄ると、画像を女にみせた。
「わ、なに、この美少年。うちらより可愛いじゃん。こりゃ、遊び放題ね」
「来るもの拒まずって感じで、人間らしくないの。けど、そこに惹かれて抜け出せなくてそんな自分が怖いのよ」
「ふうん。芸能人みたい。名前なんてゆーの?」
マキは、髪をいじりながら答えた。
「きいろよ」
コーヒーにうつる自分の顔が歪むのが液体の揺れによるものなのかわからなかった。
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