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水族館は、親子やカップルが多かった。
小さな子供が親に肩車してもらいながら、イルカを眺めていた。
きいろは、その様子を静かに眺めていた。
横顔を盗み見ると、その感情は読めなかった。けれど、なんとなく、きいろはただ、魚やイルカを見にきたわけではないのだと察した。
きいろは、急に俺の手を引っ張った。
「暗いと、秘密なことしたくなるよね」
そう言って俺の右手をぎゅっと握った。
きいろは、甘えるように俺を見上げた。
「みどりが見たがってたくらげのスペースにいこ」
イルカの水槽は人集りがすごいことになっている。そこから、距離をとると、俺を促し、手をひっぱって歩きだす。
少し歩くと、クラゲのスペースがあった。
水槽のなかでゆらゆらとくらげが暗闇のなかで光を発していた。
「くらげのカサと触手が分離しているのは、死んでいるんだ。死んだら溶けてなくなっちゃうんだよ。クジラは繊細ですぐ傷つくし、水流の流れがないと生きていけなくて、管理が難しいんだよ」
「みどり、本当にクラゲ好きなんだね。確かに、プカプカしてて可愛いね」
「きいろみたいだな、クラゲって。俺もきいろの管理難しいよ」
「みどりぐらいだよ。俺を扱えるのは。俺がカサでみどりが触手なら離れたら死んじゃうね。死ぬときに溶けちゃうなんて、素敵」
きいろは悪戯っ子のような顔をして言った。
「...俺もきいろがいなきゃ、ほんとうに無理だよ」
きいろ、いつまでもその言葉で俺を縛ってほしい。離れられないように、いつまでも俺を特別に置いて欲しい。繋いだ手はすぐ離れてしまうから。そう願わずにはいられなかった。
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