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みどりは、きいろの噂について、周りから質問されるようになったが、詳しいことを知らないと言うと、皆が驚く。
悩み落ち込む俺とは違い、きいろの噂は沈静化しかけていた。俺は、自分の気持ちを悟られぬよう過ごした。
そんな日々が過ぎ、夏休みになって。きいろと連絡がとれなくなった。母は、東京のおうちに帰っているのよと勝手な想像をしていた。
毎晩、確かめるきいろの家にあかりが灯っていることはなかった。
部活だけの楽しくない夏休みを過ごす。
友人からは、きいろと俺が一緒にいないことから、解散したのかと笑われた。
朝練が終わり、ひとりで屋上にいくと佐々木先輩がいた。
「よう、みどり」
佐々木先輩は、寝転がっていた俺のとなりに腰掛けた。
俺は起き上がり、きちんと座る。
「みどりは、きいろと違って真面目だな。きいろなんて話してるのに、いつのまにか眠ってることある」
先輩は、タバコを取り出しながら笑った。
「秘密な。」
そういって、タバコをふかす先輩はかっこよかった。
「きいろは、みどりといるときが1番楽しそうだな」
「でも、きいろは彼女いますから。ただの友達ですよ。きいろからしたら」
先輩は俺の言葉に八重歯をみせて笑った。
「そうかな、あいつお前の誕生日に必死になにが喜ぶか俺とか色んな人に聞いてたぜ。あいつの為にお前に隠してたけど、あの必死さ可愛かったな」
「いま、1番大事なひとだから頼むって。プロポーズかよって」
そう言って先輩は煙草を足でもみ消した。
きいろは本当にそう思っているのか。なぜ、まゆと付き合うということを俺に相談してくれなかったのか。
今だって、夏休みに連絡なしにどこか行ってしまったし。
「きいろさ、時々すごく悲しげな顔するだろ。けど、みどりといるとすぐ楽しそうに笑うだろ。可愛いよな。夏休み、どっか遊びに行かないの?」
「きいろ、いま連絡とれないんです。俺、実は」
先輩なら話してもいい気がした。
「きいろが好きなんです。友人とかじゃなくて」
「知ってる。お前見てたらすぐ分かったよ」
先輩は、指でとんとんと地面を叩いた。
「きいろ、まゆと別れたんだって。まゆが全く連絡とれないってドタキャンもされて、怒って別れたって言ってた。夏休みに入る二日まえ」
初耳だった。
「お前は静かに待っててやれよ。きいろの帰る場所はお前しかいないんだから」
佐々木先輩の言葉に頷くしかできなかった。
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