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その晩の翌日だった。せっかくの日曜日なのに朝から雨がしとしとと降り、気温も下がり指先が冷え冷えとした。空は暗く曇り不穏な様子だった。空はこれから起こることを予兆していたのだろうか。
いつものように、みどりはプリントをきいろに届けにいった。あれからきいろの家にあがることはなかった。
インターホンを押し、返事がないことを確認する。
スマホに事前にメッセージをいれていたが連絡はなかった。ドアノブを捻ると、あっけなくあいた。
激しくなった雨が窓を叩いていた。
リビングに人が転がっていて思わず腰を抜かす。
よくみるとそれは
きいろだった。
きいろは、後ろ手に手錠で縛られ、足首は紐で同様に縛られていた。
口は、タオルを詰められていた。きいろは裸で、至る所からナイフで切りつけられたように血を流していた。足のあいだから、覗く大きなバイブがやけに雨の音だけがする空間でうるさく、振動していた。
きいろの周りには白い薬剤のような粉がばらまかれていた。
すべてが、テレビをみているような、感覚だった。
けれど、それに興奮している自分が確かに存在した。
きいろを見つめて、自慰をした。そのとき、自分の体が自分でないかのように、無だった。異常だった。
きいろはどんな姿でも美しかった。
気絶しているきいろ。今からすぐ介抱して、病院に連れて行かなきゃ行けない。そう思っているのに、体は意思に反していた。
身体の熱は収まらない。自らの右手は、その熱に比例するかのように速さを増した。俺はすぐ達して、手に残る白濁液を見つめると後から襲ってくる罪悪感に苛まれた。
熱の冷めた目できいろを見つめる。
きいろは、生きているのか。慌てて、きいろの呼吸を確かめる。きちんと息をしていた。
きいろの脚の紐を切り、口のタオルを外して、きいろの穴に埋め込まれた器具を抜き取る。きいろは小さく呻いた。その吐息は切なく麗しかった。
俺は自分の着ていた上着をかけた。
手錠の鍵が見当たらない。
きいろは、全く動かなかった。
急に身体が冷えて、きいろを失うかもしれないと、指先が震えた。
「..きいろ!きいろ!大丈夫か!」
きいろは、小さく呻いて目を開けた。
うつろな目に俺の姿が映っていた。
「消えてしまいたい」
きいろは、小さく呟いた。そして、また気を失った。きいろを抱きしめる。
俺は心にきめた。
きいろに嫌われてもいい。父親からきいろを守る。いくらきいろが反対しても、このままではきいろは本当に消えてしまうように思えた。
俺は、毛布を探し出し、きいろをそれで包むと、自宅に連れ帰った。運よく、親は仕事で妹も遊びにでていた。
家にあるペンチで手錠を破壊した。きいろの身体をあたため、タオルで拭く。
きいろは起きなかった。傷を消毒して、手当てをする。白い細い身体は、抱き上げると軽くてびっくりする。至る所にある切り傷に胸が痛んだ。
きいろは、一時間ぐらい眠っていたがひどくうなされていた。額に浮かぶ汗をタオルで拭うと目を覚ました。
「みどり?」
「おはよう、きいろ、頭が痛いとかどこかおかしいとかない?倒れてたんだ。ごめん、また勝手に家に入っちゃって」
きいろは一瞬ぼうっとすると、自らの腕や身体に巻かれた包帯やガーゼを目にし、ヒュッと喉をならした。急に震えて、呼吸を荒げる。ただならぬ様子に俺は慌てる。
「...父さんにッ、父さんッごめんなさい。僕、僕、わざとじゃないんだッだから...罰を与えないで。イヤッ」
思わず俺が落ち着かせようと近づくときいろは、狂ったかのように暴れた。
「僕ッ、アアッ、やめてお願いします。なんでもするからだからだから」
きいろは、蒼白になった顔を歪めて、泣き崩れた。
みどりは、きいろの肩を揺さぶった。
「きいろ!!目を覚ませ!おねがいだから」
きいろは、俺の叫びに我を取り戻す。
「みどり...おれ、何でみどりの部屋にいるの」
呆然とするきいろに、経緯を話した。きいろの姿に欲情したことは、喋らなかった。
「また、みどりが助けてくれたのか。ありがとう。俺はみどりに迷惑かけてばかりだね」
きいろは、2日間あの状態で放置されていたと言った。男なのにあんなことされて気持ち悪いよねと笑うきいろは痛々しかった。
きいろには、怖いものなんて存在しないと思っていた。バカみたいに笑って、カエルや蛇や花に囲まれてみんなから愛されて抱きしめられる。きいろは自由じゃないといけない。
だから、俺は...必ずきいろを何としてでも救い出そうと決意する。
それが、何年かかろうとも。
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